ギター用のマルチエフェクターのZOOM「G1 FOUR」とBOSS「GT-1」には、様々なペダルをモデリングしたエフェクトがいくつか入っています。

音作りをする上でモデリングの元になった実機にどのような特徴があるのかを理解していると音作りのイメージがしやすくなると思います。

「G1 FOUR」や「GT-1」には沢山のエフェクトの種類があり、どれが何をモデリングしたものなのか分かりにくいこともあるので、一度整理してみたいと思います。

最初はコンプレッサー編です。


「G1 FOUR」に入っている「Comp」と、「GT-1」に入っている「D-COMP」はMXRの「Dyna Comp」のモデリングです。

実機はいわゆる「ダイコン」と言われる超有名なコンプレッサーですね。

「パコパコ系」と言われるパーカッシブなアタック感を求めて使う人も少なくないと思います。

コンプによってはギターの線が細くなってしまうこともあるのですが、このコンプは効きが分かりやすく、個性的なかかり方がするので、このコンプをかけるだけで上手くなったような錯覚を覚えることもあります。

強めにかけてカッティングをするとパーカッシブなサウンドになるので、気持ち良いと思います。

アルペジオにかけてアタックを強調するのも良いと思います。

実機は「OUTPUT」と「SENSITIVITY」の2つのツマミしかないのですが、「G1 FOUR」には「SENS」(エフェクトの感度)、「アタック」、「TONE」、「ボリューム」の4つのパラメータがあります。

赤い見た目で比較的入手しやすいということから、ポケモンに例えると「ダルマッカ」的な存在でしょうか。


「G1 FOUR」にしか入っていないもの




◆「GrayComp」 ⇒ 「ROSS Compressor」




「G1 FOUR」に入っている「GrayComp」は「ROSS Compressor」のモデリングです。

1970年代末期に開発されたヴィンテージコンプレッサーのモデリングですね。

「Dyna Comp」と同じくらい人気があったコンプですが、「Dyna Comp」よりもより強くコンプレッションをかけることが可能で、効きが強いものの、自然な感じを保つことが可能です。

実機は伝説のポケモンのような存在で、なかなか手に入らないですし、購入できたとしても結構なお値段になっていると思います。

灰色がかった機械的な見た目と伝説的存在であることから、ポケモンに例えると「レジスチル」的な存在でしょうか。



◆「BlackOpt」 ⇒ 「emeter COMP-1 Compulator」



「G1 FOUR」に入っている「BlackOpt」は「emeter COMP-1 Compulator」のモデリングです。

「Opt」(オプト)はオプティカル(光学)式のことですが、実機もオプティカル(光学)素子を使用したタイプのコンプレッサー(オプトコンプ)です。

オプトコンプは一般的にまったりと自然なかかり方をするものが多いのですが、この「COMP-1 Opto Compulator」も音やせは少なく、色づけもほとんど感じないクリーンなかかり方がします。

このコンプの実機は、オプトコンプの名機である「LA-2A」を基盤に開発されたみたいですね。



真っ黒な見た目であることから、ポケモンに例えると「ブラッキー」的な存在でしょうか。




◆「LMT-76」 ⇒ 「UREI 1176LN」




「LMT-76」は名前から「UREI 1176LN」と分かりやすいですね。

レコーディングスタジオによくある定番のコンプレッサーで、DAWのプラグインとしても多くの種類が販売されています。

ZOOMの説明書をみるとレシオは4:1, 8:1, 12:1, 20:1の4つのようですので、レシオの「全押」はないみたいです。

T-Racksの1176のモデリングは個人的に使いづらかったのですが、こちらのZOOMの「LMT-76」は(実機に似ているかは別として)歪みに刺してみると簡単に良いサウンドを得られました。

これを使って複数の音を録音してギターの「壁」のような音を作るのも面白いと思います。

黒い見た目と現場で良く使われる最強クラスのコンプであることから、ポケモンに例えると「ボスコドラ」的な存在でしょうか。



「GT-1」にしか入っていないもの


◆「BOSS」 ⇒ BOSSの「CS-3」


「GT-1」に入っている「BOSS」はBOSSの「CS-3」のモデリングです。



実機は青色が鮮やかなボディのあれですね。

BOOWYの布袋寅泰が「CS-3」の前身の「CS-2」を使っていたことは有名だと思います。

ギタリストだけでなくベーシストにも使っている人が多い印象ですね。

MXRの「Dyna Comp」や前身の「CS-2」に比べるとパコパコ感は少なめで自然なかかりかたですし、細かい設定が可能なので、純粋にコンプレッサーとして使うのであればこちらのほうが使いやすいかも知れません。




◆「ORANGE」 ⇒ DAN ARMSTRONGの「ORANGESQUEEZER」



「GT-1」に入っている「ORANGE」はDAN ARMSTRONGの「ORANGESQUEEZER」のモデリングです。

若干歪み要素が混ざった「Dyna Comp」や、クリーンでお上品な「Ross Comp」とはまた違って、「ORANGESQUEEZER」はマイルドで滑らかな印象です。

オリジナルの実機はギターのアウトプットジャックに直接差し込むタイプでストラトなんかには使えなかったのですが、10年くらい前にストンプボックスタイプのものが販売されていました。

名機と言われながらも「Dyna Comp」や「Ross Comp」と比べると陰が薄くなってきているのは確かで、いずれ伝説のエフェクター的な扱いになりそうです。

少なくとも私は実機を買うことはまずないので、このような昔の名機がモデリングとして入っているのは有り難いです。


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