VOXからは、「VX」シリーズ、「MINI」シリーズ、「CAMBRIDGE」シリーズなどの、デジタルモデリングのアンプが発売されており、10種類程度のアンプリュミレーターが搭載されているのですが、どのアンプをモデリングしたものなのか名前から分りにくいものもあります。

説明書にも説明書はあるのですが、権利関係の問題で「どのアンプをモデリングしたものか当ててみて」という感じのクイズ的な記載になっています。

そこで、VOXのデジタルモデリングを一度整理したいと思います。


  • 1.  DELUXE CL

「DELUXE CL」について説明書には

「60年代に発売以降、ブラック・フェイスの愛称で多くのギタリストから愛されている、2チャンネル、22Wのコンボ・アンプです。パワー・アンプ部には6V6を搭載し、チューブ・リバーブによる温かみのある音色が特徴です」

と書いてあります。

「DELUXE」、60年代に発売、22W、というキーワードから、フェンダーの「DELUXE REVERB」で間違いないですね。

「DELUXE REVERB」にもいくつか種類がありますが、「ブラック・フェイス」と記載さているので、1967年頃までに販売されていたコントーロロノブがブラックパネルになっているタイプのものだと思います。

「DELUXE REVERB」の実機はスタジオにも置いてあったりすることもあるので、使ったことがある人も多いのではないかと思います。


  • 2.  BOUTIQUE CL

「BOUTIQUE CL」について説明書には

「完全受注生産されるオーバードライブ・スペシャルと名付けられた、高級アンプのクリーン・チャンネルをモデリングしました。丸みのある美しい低域、立ち上がりの早いミッド・レンジのアタック、甘美なトレブル音は、シングル・コイル・ピックアップに最適です。」

と書いてあります。

「BOUTIQUE」という名前だけだと分りにくいのですが、「受注生産」「オーバードライブ・スペシャル」というキーワードからすると「ダンブル」アンプだと思います。

「ダンブル」アンプは入手が困難で非常にレアなアンプなので実機を見たことがありませんが、プロのミュージシャンに使われていたので、楽曲の中で耳にしたことがあるという人は多いと思います。

「ダンブル」アンプに似せたアンプや、「ダンブル」アンプ的な音がでるペダルなども販売されていますね。

https://www.soundhouse.co.jp/contents/staff-blog/index?post=2374


  • 3.  BOUTIQUE OD

こちらも説明書には

「BOUTIQUE CLと同じアンプのオーバードライブ・チャンネルをモデリングしました。GAINコントロールを上げたときの素晴しいサスティーンは、スムーズでソウルフルです。」

と書いてあります。

こちらも「ダンブル」アンプですね。


  • 4.  VOX AC30

これはVOXのアンプということもあり実機と名前が一致しています。

説明書には

「AC30ノーマル・チャンネルのモデリングです。豊かな中域とアルニコ・ブルー・スピーカーのクリアな高域が魅力的なクリーン・サウンドを生み出します。」

と書いてあります。



  • 5.  VOX AC30TB

こちらもVOXのAC30ですね。

「TB」が分りにくいのですが、説明書には

「1964年以降の「トップ・ブースト」回路を標準仕様として搭載したAC30のモデリングです。スムーズかつ繊細なトップ・エンドを持ち、威厳のある野太いオーバードライブや、豊かで華やかなクリーン・サウンドを生み出します。」

と書いてあります。



  • 6.  BRIT 1959

これは名前からしてMarshall のビンテージアンプの「1959」ですね

説明書には

「60年代初期にイングランドで、ハンド・ワイヤリングによって作られたヘッドのハイ・トレブル・チャンネルをモデリングしました。この100W出力のアンプの音量を一杯に上げると、ロックン・ロール・サウンドとして永遠に変わらないクランチを生み出します。」

と書いてあります。


  • 7.  BRIT 800

これは名前からしてMarshallの「JCM-800」ですね

説明書には

「1983年、UK製100Wマスター・ボリューム付きシングル・チャンネルのヘッドをモデリングしました。ゲイン・コントロールをフルアップすると、80年代を制覇した、うなるような太いハード・ロックやヘヴィ・メタル・サウンドが得られます。」



  • 8.  BRIT VM

こちらは名前から分りにくかったのですが、説明書には

「パワフルなトーンの4チャンネル仕様が自慢の、2007年にリリースされたイギリス製100Wアンプ・ヘッドのモデリングです。本機では、タイトな低音と鮮明なハイゲイン・メタルサウンドが得られる“Overdrive 2”チャンネルを採用しました。」

と書いてあります。


「2007年にリリース」とあるので、Marshallの「JVM」シリーズのモデリングだと思われます。



  • 9.  SL-OD

こちらも名前からは分りにくかったのですが、説明書には

「蛇皮でカバーされた1991年製100Wアンプ・ヘッドのオーバードライブ・チャンネルをモデリングしました。オープンなローエンドと圧縮した中/高域を組み合わせた、パワフルでヘヴィなサウンドで、どんな極端なゲイン設定でも芯のとおった迫力のあるトーンになります。」

と書いてあります。

「蛇皮でカバー」「1991年製」というキーワードからすると、SOLDANOの「SLO-100」のモデリングだと思われます。


  • 10.  DOUBLE REC

こちらも最初に名前を見た時はピンと来なかったのですが、「DOUBLE」=「DUAL」、「REC」=「RECTIFIER」と変換すると、モダンハイゲインアンプのメジャー的な存在である MESA BOOGIE の「DUAL RECTIFIER」で間違いないと思います。

説明書にも

「猛獣のごときハイゲイン・アンプの、モダン・ハイゲイン・チャンネルをモデリングしました。深く、ルーズなローエンド、きらめく高域、モンスターのようなゲインは、できるだけ低くチューニングしたギターや7弦ギターを振るったメタル・アクトに最適です。」

と書いてあります。


  • 他社との比較

BOSSやZOOMのマルチエフェクター等と比較するとMarshall「1959」、Fender 「Deluxe Reverb」、VOX 「AC30」、Mesa Boogie「Dual Rectifier」などの定番どころのアンプモデリングが入っているところは共通しています。

他方で他社に入っていることの多いFender の「Twin Reverb」や、Matchlessの「DC-30」などのモデリングはVOXには入っていません。

その代わり他社製品では比較的珍しい「ダンブル」アンプのモデリングがVOXに入っているのは面白い点なのかなと思いました。