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スタジオに置いてあることが多いジャズコーラス(JC-120)は、クリーントーンを作るのには向いていますが、ディストーション的な激し目の歪みの音を作るのは難しくて、昔から悩みの種でした。

ジャズコーラスのスピーカーは癖のある固い音がするのですが、この固い音をペダルで歪ませるようとすると倍音がキツい感じに重なったりして耳障りな音になったりすることが多いんですよね。

なかなかJC-120を攻略をすることができず、結局マルチエフェクターを使うことが多かったです。

最近、歪み系のペダルが少し増えてきたので、JC-120と相性が良いと言われているペダルを繋いでみて、どのようにすれば一番JC-120で納得のいく歪みを作ることができるか試してみました。




  • ◆Effects Bakery 「Bagel OverDrive」と「Croissant Distortion」

最初に試したのがEffects Bakeryのペダル達。




Effects Bakeryのペダルは可愛い上に小さくで安いので、色々と試すにはもってこいなエフェクターです。


Effects Bakeryの歪み系ペダル(コラボ製品を除く)を歪みの小さい順番に並べると

① Cream Pan Booster(クリームパン ブースター)

② Bagel OverDrive(ベーグル オーバードライブ)

③ Croissant Distortion(クロワッサン ディストーション)

④ Sandwich Fuzz(サンドイッチ ファズ)

です。


「クリームパン」は「ブースター」と書いてありますが、弱めのオーバードライブという感じですかね。

「クリームパン」を通すとMXRの「Microamp」を通した時のように音が太くなり、クリーンサウンドに合わせると非常に良い感じです。

「VOL」のツマミを上げていくと軽く歪みます。



「ベーグル」は文字通りオーバードライブですが、TS系らしく、Ibanezの「TUBE SCREAMER」(TS9やTS808)のようにミッドが強めです。

ただ、他のTS系のペダルに比べると癖は弱めで、比較的どのアンプとも相性が良いように作られていると思いました。

(元の名前も食べ物なのでややこしいですが)食べ物に例えると、初心者向けの次郎系ラーメンというイメージで、癖はあるけどそこまで癖が強くないという感じです。



「クロワッサン」は「ディストーション」ということになっていますが、「GAIN」を上げても深くは歪みません。

少し歪みが強めで、周波数特性がフラット寄り~ややドンシャリ風のオーバードライブ、という印象でした。



「サンドイッチ」は「ファズ」という名前が付いているとおりファズっぽい音がでますが、「FUZZ」のツマミを左に回すとディストーションっぽいサウンドになります。



今回、JC-120には「ベーグル」と「クロワッサン」を繋いで試してみました。



「ベーグル」は・・・JC-120で鳴らしても悪くはないのですが、TS系ということであまり歪みません

また、ミッドが強調された「ベーグル」とJC-120の相性はあまり良くないように感じました。

ちなみに、「ベーグル」をFENDERの「TWIN REVERB」、マーシャルなどの真空管アンプに繋いだところ、びっくりするくらい良い音が出ました。

「TUBE SCREAMER」(真空管を叫ばせる者)系ということで真空管アンプとは相性が良いものの、トランジスタアンプのJC-120とは相性が良くないのかも知れません。



次にJC-120に「クロワッサン」を繋いでみたところ・・・こちらはJC-120でも良い感じでした!

「クロワッサン」自体に癖があまりないので、癖が強いJC-120と合わせると、ちょうど良い感じになります。

ただ「クロワッサン」1つだけだと強い歪みは作れないので、リードトーンを弾くには心許ない感じです。

「クロワッサン」を他の歪みペダルと組み合わせてみたものの、あまりしっくりしたセッティングを作ることができませんでした。

クランチサウンドでコードをジャカジャカ鳴らしたり、カッティングをするのであれば、「クロワッサン」は使い勝手が良いと思います。

個人的にはもっと強い歪みが欲しかったので、別のペダルを探すことにしました。




  • ◆ELECTRO-HARMONIX「OD GLOVE」(OCDのコピー)

プラグインのAmpliTubeにOCDのモデリングが入っているのですが、使い勝手が良いんですよね。



ネットで「JC-120対策としてOCDが良い!」という記事も見ていたこともあり、以前から「OCDが欲しい」と思っていました。

しかし、「OCD」は品薄で価格も高騰していますし、バージョンによって音も評価が違ったりするので、なかなか買えない状況が続いていました。

そうこうしているうちにOCDのメーカーであるFulltoneが廃業するというニュースも入ってきて、ますますOCDが手に入りにくい状況に・・・。

そんな中、ELECTRO-HARMONIX(エレハモ)の「OD GLOVE」が「OCD」のクローンとして出来が良い、という話を耳にしました。




エレハモと言えば定番のファズであるBIG MUFFで有名なメーカーですよね。

個人的にはエレハモは食べ物で言うと「B級グルメ」的なイメージで、一時期はロシアで製造されていたり、スイッチも固いし壊れやすい、電池交換にネジが必要で面倒くさい、というイメージでした。

しかし、最近のエレハモのレビューを見ると評判が良いんですよね。しかも安い。


ということで、フリマサイトで「OD GLOVE」をポチりました。

そして、期待に胸を膨らませながらJC-120で使ってみたところ・・・・・・JC-120で使うと微妙。。。

「OD GLOVE」は、GAINのノブを右に回すにつれて、ドンシャリで低音が渋滞したような音に変化していくのですが、JC-120特有の固い音と重なって耳障りの悪い音になりがちです。

しかも、思っていたよりも「OD GLOVE」は歪まない

宣伝文句には「オーバードライブからディストーションまでの歪みを生み出す」とあるので、ディストーションとして使うつもりでかったのですが、歪み量としてはオーバードライブですね。

AmpliTubeでOCDのモデリングを使うときは、基本的にマーシャルなどのハイゲインアンプに合わせていたので、まさかJC-120でOD GLOVE (≒OCD)がこんなに歪まないとは思っていませんでした。

「OD GLOVE」1台だけだと激し目の歪みは作れないので他のペダルと組み合わせる必要があるのですが、他のペダルと組み合わせるとノイズが強くなりますし、「OD GLOVE」はGAINのノブを回すことで周波数特性が変わるので結構音作りが難しい。

GAINのノブが9時くらいであれば良いのですが、12時よりも右に回すとJC-120では制御が難しくなってきます。


ちなみに、試しにAmpliTubeのアンプシュミレーターで「OD GLOVE」を試してみると、マーシャル系のアンプ、フェンダー系のアンプなど、ほとんどのアンプと相性は良く、特にアンプでクランチ程度の歪みを作ったところに「OD GLOVE」を踏むと非常にロックで気持ちの良い歪みが作れます。

また、AmpliTubeに入っているOCDのモデリングと「OD GLOVE」の音や挙動はほとんど同じで、「OD GLOVE」のほうが音の解像度が高く繊細な音がしたので、「OD GLOVE」自体が悪いペダルということではないと思います。

しかし、「OD GLOVE」(≒OCD)とJC-120の相性があまり良くないのだと思います。(個人の感想です)


「OD GLOVE」はブースターとして使っても使い勝手が良いですし、上記のようにJC-120以外の歪み系のアンプであれば格好良い音が作れるので持っていて損はないと思いますが、ジャズコ対策という目的で買うと期待外れという人もいるかも知れません。

楽器屋さんで試奏してから買うほうが吉だと思います。

ということで、次のペダルを探すことに。



  • ◆BOSS「ST-2」(Power Stack)

次に試したのはBOSSの「ST-2」です。



正直なところ、「ST-2」はジャズコ対策の「大本命」として購入しました。

「ST-2」は、これ1台でスタック・アンプ的な音が出せるというのが売りで、昔から評判も良いので、これは外れないだろうと思ってました。

「ST-2でジャズコ対策の旅も終わるだろう」と思って買ったのですが・・・個人的には期待外れでした。

「ST-2」は評判も良くて売れているペダルなはずですが、自分の中ではJC-120とはあまり相性が良くないように感じました。

また、アンプシュミレーター的なペダルとして見た場合、音が古いような印象を受けました。



「SOUND DRIVE」のノブで歪みを少なめ(11時以下)にすると、それなりに良い感じのクランチサウンドが作れるのですが、「SOUND DRIVE」のノブを12時よりも右に回すと音がきつくなって安っぽい音になり、JC-120の固め音と相まって、使いづらく破綻したような音になりがちです。

「ST-2」にはイコライザーとして「TREBLE」と「BASS」の2つのノブがあるので細かい調整をできそうな気もするのですが、「SOUND DRIVE」で歪みの量を多めにしてしまうと、イコライザーを調整しても良い感じの音がなかなか出ません。

それなら「ST-2の歪みを少な目にして、他のペダルでブーストして歪みを作れば良いのではないか?」とも思い、他の様々な歪みペダルと組み合わせてみたのですが、なかなか納得のいく歪みの音が作れませんでした。

個人的には「SOUND DRIVE」を回すと音の印象や周波数特性が大きく変わってしまうのが使いづらいと思いました。

「ST-2」は2010年発売のアンプシュミレーター的なペダルですが、「ST-2」の発売開始から10年以上に期間が経過する中で、「ST-2」よりもクオリティの高いアンプシュミレーターやマルチエフェクターがいくつも販売されており、「ST-2」を使うのであれば最近の安価なアンプシュミレーターやマルチのほうが使い勝手が良いのではないかと思います。

「ST-2」はマーシャルっぽい音が出せると言われていますが、個人的にはZOOMの「G1 FOUR」などのほうがマーシャルの音に近いと思いますし、「G1 FOUR」のほうが安いので、「ST-2」を買うか迷っている人は、楽器屋さんで他のアンプシュミレーターやマルチエフェクターも試奏してから考えたほうが後悔は少ないように思います。

この小さなペダル1個でスタックアンプ的な音を出せるというのは魅力ですし、中古市場では比較的安く購入できるので、持っていて困ることはないと思いますが、自分は買ってからほとんど使っていないです。



  • ◆BOSS 「SD-1」(SUPER OverDrive)

自分の中で「ST-2」はハズレだったのですが、JC-120を作っているRoland(=BOSS)のエフェクターであれば、JC-120と相性の良いペダルがあるんじゃないかと思い、「ST-2」以外のBOSSのペダルを試してみることにしました。

最初に試したのは定番かつ、お求めやすい価格の「SD-1」。



JC-120に「SD-1」を合わせると・・・ゲインを落として限りなくクリーンに近いサウンドで弾くと非常に良い感じです。

適度な倍音が響いて、弾いてて気持ち良い!

しかし、強く歪ませようとするとゲインが全く足りないんですよね。

試す前から分かってたんですけど。

ロック的なサウンドには向かないと思います。

「SD-1」の前にブースターをはさんでも微妙な感じなので、かなりジャンルを選ぶペダルだと思います。

ジャズ、ブルース、ボサノバなど、お洒落なギターフレーズに合いそうなイメージですね。

「SD-1」はブースターとして優秀ですし安いので1個持っていても損はないと思います。

ただ、「SD-1」は多くのマルチエフェクターやプラグインに入っている「OD-1」のモデリングで代用できますし、後述の「OS-2」のほうが出せる音の幅が広いので、「SD-1」を買う前にマルチエフェエクターは別のペダルも選択肢に入れて検討したほうが良いと思います。

個人的には「SD-1」を買うよりも、「OS-2」「OD-3」「BD-2」を買ったほうが、使える音の幅が広くて使い勝手が良いと思います。

しかも、「SD-1」は新品は7000円と安いのですが、中古市場だとそれなりに人気があって値下がりしないので、「OS-2」や「OD-3」のほうが安かったりするんですよね。(新品だと「OS-2」や「OD-3」のほうが高いです。)








  • ◆BOSS 「OD-3」(OverDrive)

JC-120を攻略するために色々な歪みペダルを試しては「いまいちしっくり」来ないということが続いたものの、昔からある王道のペダルが良い感じだったので、「結局、王道を試していくのが良いんじゃないか」と思うようになりました。

DTMのプラグインやヘッドホンもそうですが、散々回り道をした結果、王道で、昔から使っている人が多い機材が一番良かったりするんですよね。

サウンドハウスの「オーバードライブ」のカテゴリーで評価件数順に並び替えをすると(ブースターを除く)

1位  BOSS 「BD-2」

2位  BOSS 「SD-1」

3位  BOSS 「ST-2」

4位  BOSS 「OD-1X」

5位  BOSS 「OD-3」

以下、TS系など・・・

という順位なんですよね。

純粋なブースターを除くと上位はBOSSばっかり。


「BD-2」「SD-1」「ST-2」は既に試しましたし、「OD-1X」は既に試した「SD-1」と傾向は似ているだろうということで、5位の「OD-3」が欲しくなってきました。




「OD-3」は超初心者の頃に使ったことはあるのですが「普通のオーバードライブ」くらいの印象しかありませんでした。

でもレビューを見ると「久しぶりに使ってみたら凄く良かった!」という記述が多いんですよね。

フリマサイトで安くて状態の良さそうな「OD-3」があったので、久しぶりに使ってみたところ・・・

JC-120に合わせると、かなり良いですね!

JC-120対策として使うのであれば、「OD-3」は、ほぼ正解ではないでしょうか。

ペダルの沼にはまって散々苦しんだ後でなければ分からなかったかも知れませんが、「OD-3」は非常に優秀なペダルだ感じました。

JC-120で「OD-3」を使うと、JC-120特有の固い音を適度にマイルドにしつつ、歪んだ倍音と芯にある原音的な音をミックスしたような音になるので、耳障りも良く、かつ他の音に埋もれにくいアンプライクな音になります。

おそらく最初に「OD-3」を使っても、その良さは分からないかも知れないのですが、ある程度の経験がある人が色々なペダルを試した後に使ってみると「OD-3」の凄さが分かるのではないかと思います。

「BOSSは初心者っぽくて恥ずかしいから使っていない」という人にも試して欲しいペダルですね。



「OD-3」のデメリットとしては、これ単体ではJC-120を激しく歪ませることはできません。

しかし「OD-3」は他の歪みペダルとの相性も良く、

ギター ⇒ 他の歪みペダル ⇒ OD-3  ⇒ アンプ

というように、「OD-3」をプリアンプ的に使って、他の歪みペダルをブースターとして使うと非常に良いと感じです。

なのでJC-120の音作りに困ったらとりあえず「OD-3」を挟んで、後は自分の好みで好きな歪みをブースターとして使えば、以外に簡単にアンプライクな音を作れるのではないかと思います。


「OD-3」は1997年発売開始なので、すでに25年くらい店頭に並んでる訳ですが、今回久々に使ってみて今でも売れている理由が分かったような気がしました。



  • ◆BOSS 「OS-2」(OverDrive/Distortion)

「OD-3」が良かったのでBOSSの他の歪みも試してみたくなりました。

「OD-3」を買う時に「OS-2」と迷ったので、「OS-2」も買って試してみることに。



BOSSの「OS-2」は、オーバードライブとディストーションの2つの回路が入っていて、それぞれの回路をミックスして使えるというペダルです。

噂では「SD-1」と「DS-1」と同じような2つの回路が入っているようです。

「COLOR」というツマミを左に回すとオーバードライブ的なミッドが強調された音色になって、右に回すとディストーション的なドンシャリ風の音色になります。

自分の中では「OS-2」は器用貧乏で使いにくい残念なペダルというイメージを持っていました。

高校生や初心者が「1つのペダルでオーバードライブとディストーションの両方の音が出せるなんてお得!」と考えて、この「OS-2」を買ったりすることもあると思います。

しかし、この「OS-2」は「COLOR」のツマミをいじっても「SD-1」や「DS-1」と全く同じ音は出ないんですよね。

しかも、「COLOR」を右か左に完全に振り切ると残念な音になりがちです。

なので、これ1台で「SD-1」や「DS-1」の代わりになると思って買ったものの、「使えない!」と思って売りに出す人もいると思います。

実際にはフリマサイトでは「OS-2」はかなり安く出品されていることも多いので、手放す人も多いペダルなのではないかと思います。

ということで、私は長らくこの「OS-2」に良い印象を持っておらず、使ったことはありませんでした。


しかし、「OS-2」のレビューで「ジャズコ対策に使える」という記述があったり、Youtuberの方が「OS-2」を「最高の歪みペダル」とベタ褒めしているのを見たりするうちに、気になって買ってしまいました。


で、実際にJC-120で使ってみたところ・・・これも良いですね!

完全に食わず嫌いで「OS-2」を使ってこなかったのですが、使い方が分かれば非常に汎用性が高いペダルだと思います。

サウンド的にはちゃんと原音的な芯が残ったしっかりした音色で、同じBOSSの「OD-3」に少し似た部分もあるのですが、「OD-3」よりもマイルドで耳障りが良く、「DRIVE」ノブのゲインの幅が非常に広いので、JC-120でも「OS-2」1台でクリーンに近いオーバードライブサウンドから、激しい歪みまで作ることができます。

そして特に使い勝手が良いのが「COLOR」のツマミですね。

「COLOR」は本来はオーバードライブとディストーションの音色をどのくらいミックスさせるかというツマミなのですが、左(オーバードライブ側)に回すとミッドが持ち上がり、右(ディストーション側)に回すとミッドがカットされたドンシャリ的な音になるので、このツマミでミッドの調整ができるんですよね。

ミッドのツマミがあるペダルって非常に少ないと思うのですが、アンプや他の歪みペダルと組み合わせる時に「ペダルでミッドの調整が出来たら良いのにな・・・」と思うことが良くありました。

例えば、ハイが強いマーシャル系のアンプにはミッドが強いTS系のペダルを組み合わせてマーシャルのハイを押さえて耳障りの良い音にするという使い方や、モコモコしたアンプにドンシャリ系のペダルを組み合わせて音をハッキリさせるという使い方をする人は多いと思います。

しかし、普通のペダルはミッドを調整するツマミが無いことが多いので、「もう少しミッドを上げたい」「もう少しミッドを抑えられたら」という感じで融通がきかないこともあると思います。

この「OS-2」は「COLOR」のツマミでミッドの調整ができてしまうので、他のアンプやペダルの周波数特性に合わせることが出来てしまいます。

このように「OS-2」は「1つのペダルでオーバードライブとディストーションの両方の音が出せる」と期待すると残念な感じですが、「歪みの幅が広くミッドの調整もできるペダル」と考えると、非常に使い勝手の良い優れた機材だと思います。

スタジオに入る時に重い機材を持って行くのが面倒な時もあると思いますが、そんな時はこの「OS-2」を1台だけ持って行って、その場で音作りをすれば何とかなるんじゃないかと思えるくらい、音作りの幅が広いです。

中古市場で安く出品されているので、とりあえず1台持っておいても損はないと思います。



注意点としては「OS-2」は1990年から販売されているロングセラー商品なので、中古市場には1990年代の古い個体も非常に多く出回っています。

古い個体だからダメという訳ではないと思いますが、経験上、古いペダルはガリが出やすかったりしますし、電池ケースのゴムもボロボロになっていたりすることもあるので、中古で買う時は製造年を確認したほうが良いと思います。
(ゴムは単体で売っているので交換すれば良いだけなんですけど)

製造年の確認方法は、裏側のシリアルナンバーを以下のサイトに入力するだけです。






  • ◆BOSS 「MT-2W」(Metal Zone)

次に試してみたのがBOSSの「MT-2W」です。

「MT-2W」は、「MT-2」(メタルゾーン)の「技」シリーズのバージョンです。

「MT-2」はBOSSの歴代のエフェクターの中でも大ヒット商品ですが、「音がペラい」とか「シャーシャーという音がする」ということで苦手意識を持っている人も多いと思います。

私も「MT-2」の音はどちらかというと苦手だったのですが、ふるさと納税で5万円で「MT-2W」返礼品としてもらえるということで、ポイントなども考えると実質タダで手に入るので返礼品として選んでみました。

実際に使ってみると「MT-2W」守備範囲が広くかなり良いです。

「MT-2w」には「スタンダードモード」と「カスタムモード」という2種類の設定が選べるようになっているのですが、「スタンダードモード」のほうは従来の昔懐かしい「MT-2」(技ではないほう)と似たような出音です。

それに対し「カスタムモード」の出音は「MT-2」をかなり違っていて、今風のディストーションという感じで古さを感じさせない汎用性の高い歪みですね。

しかも、イコライザーはハイとローだけでなく、ミッドもありミッドのイコライザーを効かせる帯域を変化されるFREQノブまで付いています。

歪み系のペダルはミッドの出方で印象ががらっと変わるのですが、「MT-2W」はイコライザーでミッドも含めて細かい調整をすることが可能で、しかもゲインの幅も非常に広いので、オーバードライブ風の軽いクランチサウンドから、ハードロック風のドンシャリ気味の激しい歪みまで、工夫次第でどんな音でも作れると言っても過言ではないかも知れません。

「メタルゾーン」というよりも「様々な歪みの音を出せる守備範囲の非常に広いエフェクター」という感じです。

名前に「メタル」と付けないほうがもっと売れたのではないかと思えるくらい、様々な音が作れる非常に良いエフェクターですね。

癖の強いJC-120にも対応させやすいです。

しかも、この「MT-2W」はJC-120対策として非常に強力な使い方があります。

それは「MT-2W」をJC-120のインプットではなく、裏側にあるリターンに刺して使うという方法です。

従来型の「MT-2」もJC-120のリターンに刺して、いわばプリアンプのようにして使うという方法は過去に少し流行ったと思いますが、この「MT-2W」も同様にJC-120のリターンに刺して使うと、JC-120が真空管のハイゲインアンプに生まれ変わったような力強い音が出せます。

「ジャズコーラス対策に手っ取り早く強めの歪みを作れるエフェクターが欲しいな」という人には「MT-2W」はかなりおすすめできると思います。



ただ「MT-2W」には、良い部分だけでなく、悪い部分もあると思っています。

それは、イコライザーやゲインの効きが良すぎることです。

「効きが良い」というのは一見すると良いことにも思えますが、ノブを数ミリ回しただけで音ががらっと変わってしまったりするので、お気に入りのセッティングが見つかったらメモをとるなり写真をとるなりしておかないと、同じ音を再現するのに苦労することになります。

この点はいつ、どんな風に使っても同じような音が出せる「SD-1」などと対照的なところだと思います。


  • ◆BOSS 「BD-2W」(Blues Driver)

ふるさと納税で「MT-2w」を選んだ時に、本当は「BD-2W」が欲しいなと思っていたのですが、やはり「BD-2W」は人気で在庫無しになっていました。

しかし、定期的にふるさと納税のサイトを見ていたところ「BD-2W」の在庫が復活していました。

毎日のようにチェックしていると、一定の周期で在庫が復活したり無くなったりというのを繰り返しているようなので、ふるさと納税でお目当てのエフェクターが在庫切れになっていても、諦めずにこまめにチェックするのが良いかも知れません。





JC-120にBOSSの「BD-2」を合わせるのは定番ですよね。

「BD-2」は何度か使ったことがあるので、こちらも試す前からJC-120と相性が良いのは分かってました。

特にコードをジャカジャカと弾く時には、「BD-2」の少し耳障りな高音域がかえって気持ち良かったりします。

ただ、「BD-2」はピッキングニュアンスが出やすいペダルで、ソロフレーズで使うとごまかしがきかないので、技量の差がかなりはっきり分かってしまいますね。

「1つでもミスをしたら終わり」というような緊張感を強いられるペダルでもあったりします。

JC-120はもともと固い音であるのに対し、「BD-2」も高音域が強くジャリジャリ・ギャリギャリとした音が出がちなので、設定によってはボーカルを邪魔してしまう可能性があり、注意が必要だと思います。

自分に中で気持ちが良い音だと思って弾いていても、他のメンバーからは「ジャリジャリとうるさい」と言われることもあるかも知れません。

また従来の「BD-2」は低音域をばっさりとカットしてしまうので、低音弦のブリッチミュートで「ズクズク」という音を出すのにはあまり向いていないところがありました。

しかし、技シリーズの「BD-2W」は、「スタンダードモード」の他に「カスタムモード」という設定を選べるようになっています。

そして、この「カスタムモード」は従来の「BD-2」よりも音域が広がっていて、中低域の「ずっしり」とした帯域の部分の音も出るようになっています。

そして相対的に従来の「BD-2」のギャリギャリ・ジャリジャリとしていた高音域がマイルドに聞こえます。

個人的には「BD-2」よりも「BD-2W」のほうが上品な出音で使いやすいなと思います。

ただ、従来の「BD-2」の荒々しい歪みが好きだという人には、「BD-2W」は大人しくて物足りない、と感じるかも知れません。




  • ◆まとめ


色々と試してみて個人的には「OD-3」と「BD-2W」が好みでした。

ただ、自分が初心者の時にJC-120に「OD-3」を繋いで良い音だとは感じなかったかも知れませんし、人の好みはそれぞれなので、結局自分で色々と試してみないと分からないですね。

自分の好みの他に、幅広いジャンルに対応できそうだと感じたのは「OS-2」と「MT-2W」です。

「OS-2」と「MT-2W」はどちらも中音域の調整ができるだけでなく、ゲインの幅も広いので使いこなすことができれば非常の幅広い音色を作ることが可能です。

「OS-2」は「SD-1」や「DS-1」に近い懐かしい出音(古い音)が得意で、「MT-2W」は現代風・モダンな感じの歪みを作るのに適しているなと感じました。



ただ、コンパクトエフェクターを色々と試してみて分かったこととしては、JC-120対策にはマルチエフェクターは優秀だなと思いました。

最近のマルチエフェクターには「JC-120に出力する用の設定」があったりと、比較的簡単にJC-120で実用的な音が出せるように工夫されているものもあるんですよね。




その他、VOXの「VALVENERGY」シリーズなども気になっているので、また物欲が出てきたら試してみたいと思っています。