Fenderの「Player Mustang Maple Fingerboard Sonic Blue」を買いました。




  • ◆主な感想をまとめると

・ストラトよりも軽いので気軽に弾ける。

・音は低音弱め、高音がパリッとして明るい

・細かい点では品質面で気になる部分はある。

チューニングが楽

・見た目が可愛い


  • ◆購入に至った経緯

普段は20年くらい前に買ったFenderのストラトを使っているのですが、ストラトよりも気軽に使えるショートスケールで軽めのサブギターが欲しいなと思っていました。

新しいギターは以下の条件で探しました。

・サブギターとして使いたいので安めの物でも良い。

・気軽に使える軽い物が良い。

・アームはあまり使わないので、チューニングが楽なハードテイルが良い。

・ゴツいギターよりも、見た目が可愛いものが良い。

最近円安の影響や木材価格の高騰などもあってギターの価格は上昇が続いていますが、石橋楽器さんのオンラインショップを見ていたところ、Fenderの「Player Mustang」のアウトレット品が円安前の価格に近い6万9000円で販売されおり、アウトレットではない通常の新品も7万6000円(Amazonポイント3000円プレゼントで実質7万3000円程度)と比較的安い価格で販売されていました。

どちらを買うか迷っていたところアウトレット品が「売約済」になったので、新品のほうをポチりました。



  • ◆Fenderの「Player」シリーズとは

「Player」シリーズはFenderのメキシコの工場で生産されているギターで、現在では「Fender」というロゴが付いている楽器の中では最も安い部類のシリーズです。

ずっと前にはメキシコ製のFenderはあまり品質が良くないという話も聞くこともありましたが、最近ではメキシコ製のFenderも品質がかなり向上しているようで「フェンダーメキシコはコスパが良いよ」という言う人も増えてきているので気になっていました。

メキシコ工場では、生産用の機械、木材などはUSA製と同じ物が使われているようで、品質管理も最近は良くなっているようです。

私は今持っているメインのストラトがUSAなので、USA製とメキシコ製を比較をしてみたいということもありメキシコ製の「Player」シリーズを選んでみました。



  • ◆「Player Mustang」の音(サウンド)

ムスタングと言えば低音が少なめで高音がパリッとした明るいイメージですが、この「Player Mustang」もイメージどおりの明るくエッジの効いた音です。

ピックアップの出力はストラトよりもが小さく、ピッキングニュアンスがはっきり出るので、個人的には好みでした。

このギターできちんとした音が出せるようになれば、ギターもより上手くなりそうです。


Amplitubeのシミュレーターで色々なアンプを試してみましたが、クリーン系やクランチ系のアンプとは抜群に相性が良いと思います。

ストラトだと「曇って使いづらい」と感じていたビンテージ系のアンプも、このムスタングだと非常に抜けが良く気持ちの良いサウンドで鳴ってくれます。

他方、ハイゲイン系のアンプに繋ぐとピックアップの出力の小ささが仇となってノイズが目立ち、高音がギンギン・ジャリジャリとした攻撃的なサウンドになりやすいです。

ストラトの場合にはトーンは常にマックスで、絞ることはほとんどなかったのですが、このムスタングはアンプによってはトーンを調整してあげたほうが良いかも知れません。

調べたところでは「Player」シリーズは少しエッジ感を強めにしたピックアップが使用されているようです。

そのため、ただでさえ高音域の強いムスタングのサウンドがエッジの効いたピックアップでさらに強調されているのかも知れません。

エフェクターで言えばBD-2よりもSD-1やTS系と相性が良い感じで、アンプだとマーシャルよりもフェンダーのビンテージやメサブギのコンボアンプなどとの相性が良さそうな音色です。

音の解像度は普段使っているストラトよりも高く、コードの分離感も非常に良いです。

オケと一緒にギターを弾いて練習している時にもオケの音に埋まることなくギターの音が聞こえやすいので、練習用のギターとしても良さそうです。

ただ、音がハイファイで良く聞こえる分、マルチエフェクターやアンプシュミレーターを通すとデジタル感が目立つこともあります。

トーンの効きの範囲が広いので、自分の好みは環境に合わせてハイをカットすることで、幅広いジャンルに対応できそうです。

ムスタングの短所として指摘されることのある「サスティンの短さ」はそれほど感じませんでした。

1弦のハイポジションを単音で弾くと「もうちょっと音が伸びて欲しいな」と感じることはありますが、ストラトと比べてサスティンが極端に短いということはなさそうです。(ハードテイルだから?)



  • ◆「Player Mustang」の弾きやすさ

この「Player Mustang」の指板ラディアスは9.5インチとフェンダーのギターの中では標準的なので、ビンテージのギターのような弾きづらさはありませんし、弦高を下げてもチョーキングで音が詰まることもありませんでした。

ナット幅は42 mmで一般的なストラトの43mmに比べると細めなので、弦と弦の間の幅がやや狭くピッキングする際には注意が必要ですが、慣れてしまえば特に弾きづらいということはなさそうです。

ネックはショートスケールでストラトよりも短いので弾きやすくなるのかなと期待していましたが、個人的にはショートスケールの恩恵はあまり感じませんでした。

ただ身体が小さめ人女性やお子さんの場合にはショートスケールのほうがローポジションに手が届きやすいので弾きやすいと感じると思います。

指板は凄いキラキラしていて値段の割にはかなりの高級感がありますが、プラスチックの上で弾いているような若干の滑りの悪さを感じました。

この点はフィンガーイーズを使えば問題ないですし、おそらく弾いているうちに指板が削れて滑りが良くなっていくような気がします。

フレットは「ミディアムジャンボ」とやや大きめなタイプで指板に指が触れなくても音が鳴るので最初は違和感がありましたが、こちらも慣れると軽い力で押弦できるので、かえって弾きやすいかも知れません。



  • ◆品質・仕上げなど

メキシコ製ということで「作りが悪い個体だったらどうしよう」と心配していました。

ぱっと見は店頭展示もしていない個体だったのか塗装の問題も無く非常に綺麗でしたが、良く見てみるとボディの裏側に小さい傷が2つ程ありました。

工場で付いた傷なのか販売店で付いた傷なのかは分かりませんが、ギターは使ったり運んだりしているうちに傷は付いていくものなので、最初から少しくらい傷があったほうが精神衛生上は良いかなと思っています。

傷よりも気になったのがフレットのエッジの処理の甘さす。

普通に弾いている分にはあまり気にならないのですが、ネックの端に沿って手をスライドさせるとネックからはみ出したフレットのエッジが引っかかる感じで痛いです。

約20年前に買ったフェンダーUSAのストラトはフレットのエッジの処理は完璧でネックの端に沿って手をスライドさせてもヌルヌルしています。

ヤスリを買って自分でエッジを処理しようかな・・・と思いますが、演奏に支障がでる程でもないので悩ましいところです。

あとネックとボディのジョイント部分ですが、ネックポケットの削り方が均一でないのか、ネックとボディの間に少し隙間があるような感じです。

ネックがほんの少しだけ曲がって接合されているような気がしないでもないですが、センターは合っています。

こちらも約20年前に買ったフェンダーUSAはネックとボディが隙間無くぴったりと接合されているので、比較すると気になります。

リペアマンの人の話ではネックとボディが密着しすぎていても問題が生じることがあるようですし、ある程度隙間があったほうが音的には良いと言う人もいるので、この辺は「Player」シリーズが低価格モデルであることを考えると許容範囲なのかなと思います。

その他の点は、見た目は手持ちのUSAよりも綺麗だと感じました。

USAを買った時のような「何か汚いな・・・」という印象はなく、細かいところを気にしなければ「ピカピカしていて可愛くて綺麗」という印象です。(USAの雑で荒い感じも味があってそれは良いのですが。)


ショップでの調整はほとんどされていないようでした。

ネックの反りはありませんでしたが、弦高はおそらく出荷時のまま(自分の中ではかなり高め)で、オクターブのチューニングも合っていませんでした。(でも、弦はサビもほとんどなく綺麗でした。)

私は自分で調整して弦高も低めにしましたが、ギターを初めて買う方はネットではなく実際に店舗で調整をしてもらった上で買ったほうが安心感はあるかも知れません。


  • ◆ハードテイルのメリット・デメリット

ムスタングなどのショートスケールのギターはチューニングが安定していないと言われますが、この「Player Mustang」はハードテイル(音を揺らすためのトレモロが付いていないタイプ)ということもあり、チューニングはかなり安定しています。

また、トレモロが搭載されいているギターの場合、後ろのバネとバランスを取っている関係で、6弦から1弦まで順番にチューニングを合わせたつもりでも、6弦から5弦のチューニングがずれるため、チューニングに時間がかかります。

しかし、「Player Mustang」のようなハードテイルのギターは、6弦から1弦まで1回チューニングを合わせれば良く、他の弦とのバランスでチューニングがずれるということはないのでチューニングを早く合わせることができますし、ライブ中に弦が切れてもチューニングが音痴になることもないので安心感があります。

ハードテイルのデメリットは弦のテンション感が強くなることですが、ムスタングのようなショートスケールのギターは元々弦のテンションが弱いので、ハードテイルのテンションの強さと相殺する形になり、かえってバランスが良いかも知れません。

ただ、ハードテイルのムスタングは見た目的にはデュオソニックとほとんど区別が付かないのが悲しいところです。

リアのピックアップの角度とロゴが違うくらいで、他は全部デュオソニックと同じ?

歴史的にチューニングが不安定なトレモロはムスタングの可愛いらしいアイデンティティでもあると思うので、ハードテイルのムスタングは「もはやムスタングとは別のもの」と感じる人もいると思います。





  • ◆その他、良かった点・悪かった点

この「Player Mustang」を箱から出した時の第一印象は「軽い」でした。

おそらくストラトとの差は数百グラム程度だと思うのですが、ボディがやや薄めなのと、トレモロユニットがないので、ストラトよりもだいぶ軽く感じるのだと思います。

座って弾く分は違和感はありませんが、立って弾いた時の密着感(身体へのフィット感)はストラトのほうが上だと思います。

この点は身体にフィットするように考え尽くされてデザインされたストラトが流石なのだと思います。

付属のソフトケースはペラペラで薄っぺらくかなりショボかったですが、個人的にはギターのソフトケースは厚いものが複数あっても置き場所に困るだけなので、コンパクトに畳める薄いソフトケースで逆に有り難かったです。(速攻でビニール袋に入れて押し入れの奥にしまいました。)

ギターのソフトケースは最近は安くてお洒落なものも多いので、ソフトケースはショボくても良いのでギターの販売価格を安くしてもらって、浮いたお金で自分の好きなケースを買えるほうが良いかなと思っています。



  • ◆結論

可愛い

細かい部分では作りが雑な部分もあり、パリっとした耳に刺さるような高音は好みが分かれるところだと思いますし、やはりフェンダーギターの王道であるストラトのような汎用性がある訳でもありませんが、欠点がある部分も含めて「可愛い」です。

特に、クリーンやクランチのトーンやコードを掻き鳴らす用途では、ストラトよりも良いと感じることも多いです。

「Sonic Blue」の色は塗装が古くなって黄ばんでくると緑がかってきてサーフグリーンのようになることもあるらしいので、長く使うことで色の変化も楽しめるかも知れません。

軽くて扱いやすく立ったまま弾いていても疲れにくいので大事に使っていこうと思います。