フリマサイトで1万3000円くらいで中古のROLANDの「CUBE-40XL」を買ってみたのですが、今でも十分に使えると感じました。
他方で、やっぱり古いな・不便だなと感じる点もあり、買う前にもっと情報があったら良かったなという点もあったので、需要は非常に少ないと思いますが「CUBE-40XL」のレビューをまとめていきたいと思います。
- ◆ROLANDの「CUBE」シリーズについて
ROLANDの「CUBE」は現行機種では「Blues Cube」や「CUBE Street」なのラインナップがありますが、最近では同じROLANDがBOSSのブランドで出している比較的安めの「KATANA」シリーズのほうが目立っていて、「CUBE」の存在感は薄くなってきているような気がします。
しかし、ROLANDの「CUBE」シリーズはは実は歴史がかなり古いアンプで、あのランディローズが初代の「CUBE 40」を楽屋で使っていたという話もあるようです。
私もずっと前に30Wの「CUBE」を使っていたことがあるのですが、当時から音は良くて重宝していました。
最近はアンプがないスタジオに行く時には軽さが売りのVOXの「VX50 GTV」を持っていくことが多かったのですが、どうも高音域がキンキンとするような特徴のある音や、ミッドのツマミがないのが不便だなと感じることもあり、持ち運べる重さ・大きさで無難な音が出せる良いアンプがないかなと色々なアンプを試していたところでした。
その中で昔使っていた「CUBE」を久しぶりに使ってみたいなと思いフリマサイトを覗いてみたところ、古めのアンプということもあって「CUBE-40XL」が安めの価格で出品されていたので、物は試しということでポチって使ってみました。
- ◆アンプモデリングについて
「CUBE-40XL」は10年以上前の古い機種なので、さすがにアンプモデリングも古く感じるだろうなと予想していたのですが、意外にも今でも十分に使えるタイプがいくつかありました。
○JC CLEAN(Roland JC-120)
CUBE のJC-120のモデリングは実機の「JC-120」よりも硬くなくマイルドな感じで扱いやすいです。
実機の「JC-120」の音よりもCUBEの音のほうが好き、と感じる人もいると思います。
海外のジャズのプロギタリストがライブでCUBEを使っている映像を見たことがありますが、そのくらいクリーンは扱い安い良い音ですね。
ただし、昔のモデリングアンプにありがちなことですが、デジタルエフェクターとの相性は非常に悪かったです。
BOSSのマルチエフェクターをJC-120に接続するというのは定番のセッティングなのですが、BOSSのGT-1の出力の設定を「JC-120」にして、CUBEのチャンネルを「JC CLEAN」にして使ってみたところ・・・デジタル感がかなり強調されて「20年くらい前の古いマルチエフェクターの音」風の安っぽい音になってしまいました。
他方でアナログのエフェクターを繋ぐ分には特に問題はなさそうなので、「CUBE-40XL」にエフェクターを繋ぐ場合にはデジタル以外のもののほうが良いと思います。
- ○ACOUSTIC SIM
BOSSのマルチエフェクターに入っているアコースティックシュミレーターを通したような音ですが、十分に使えると思います。
エレキギターをエレアコに持ち替えることなく、エレアコの音が出せるのは便利だと思いました。
- ○BLACK PANEL(Fender Twin Reverb)
こちらはFenderの「Twin Reverb」のモデリングです。
近所のスタジオに「Twin Reverb」が置いてあるのですが、その音とはちょっと違うイメージです。
しかし「Twin Reverb」と似ているかどうかということは別にして、純粋なクリーン系のサウンドとしてみると非常に心地よくて弾いていて楽しい音だと感じました。
- ○BRIT COMBO(VOX AC-30TB)
こちらはVOXの「AC-30」のモデリングのようですが、正直なところあまり似ていないと感じました。
また中音域のあたりに癖があって、個人的には扱いにくい音だと感じました。
- ○TWEED(Fender Tweed Bassman)
こちらはFenderの「Bassman」のモデリングです。
こちらも「Bassman」に似ているかどうかという点では微妙だと思いますが、先ほどの「BLACK PANEL」に少しサチュレーションがかかったようなサウンドで、気持ち良い音だと感じました。
またマルチエフェクター(BOSSのGT-1など)を繋ぐ場合には、「JC CLEAN」よりも、こちらの「TWEED」に繋いだほうがデジタル感が少なめで、音が少しぼやける分、誤魔化しが利くように感じました。
- ○CLASSIC STACK(Marshall JMP 1987)
他のアンプシュミレーターの中にはマーシャルの1959のモデリングはよくあるのですが、1987のモデリングはかなり珍しいですね。
「JMP 1987」の実機の音は聞いたことがないのですが、おの「CLASSIC STACK」のチャンネルの音はかなり使いやすい歪みの音でした。
「CLASSIC STACK」で基本となる歪みの音を作って、あとはブースター用の歪みペダルが1個用意すれば十分にスタジオ練習やライブなでも使えそうです。
海外のYoutuberがCUBEシリーズのこの「CLASSIC STACK」のサウンドを絶賛していましたが、その気持ちも分かる気がします。
- ○METAL STACK(PEAVEY の EVH5150)
こちらも実機の5150に似ているかということを考えなければ、かなり扱いやすい音です。
一世代前のBOSSのマルチエフェクターの歪みの音に近いようなサウンドでですが、地元に帰った時のような安心感のある音です。
「メタル」という名前が付いてるものの、ドンシャリ感は少なめ、主張も少な目でハイゲインサウンドはエフェクターがなくてもこのチャンネルだけで十分な感じです。
- ○R-FIER(MESA/Boogie の Rectifier)
こちらはメサブギのレクチのモデリングですが、海外のYoutuberからは酷評されていましが、ドンシャリで昔ながらの歪みが強めのマルチエフェクターっぽい音で、ミスが目立ちにくい音なので個人的には好きな音です。
ただバンドの中で他の音と混ざった時に埋まってしまいそうな抜けの悪い音と感じる人もいると思います。
他の音に埋まってしまう音、ボーカルや他の楽器を邪魔しないということでもあるので、個人的には必ずしも悪いことではないと思っています。
- ○EXTREME(オリジナル)
「EXTREME」はCUBEのXLシリーズで新たに搭載されたオリジナルの「太い低音と激しい歪みでありながらも、はっきりとした輪郭を持つオリジナルのハイゲイン・アンプ」のようです。
こちはドンシャリ過ぎて扱いづらいサウンドであるという印象を受けました。
- ○DYNA AMP(オリジナル)
「DYNA AMP」もオリジナルのアンプのようですが、この「DYNA AMP」は好みでした。
弱く弾くとクリーンに、強くピッキングすると歪むというように、ピッキングの強弱で音色を大きく変えられる独特な雰囲気のあるモデリングアンプです。
過去にBOSSから「DN-2」というコンパクトエフェクターが販売されていましたが、海外の「DN-2」の説明を見ると「Boss DN-2・・・には、Roland の人気アンプ CUBE-60 で導入され、ピッキングのダイナミクスに基づいた独自のトーン トランジションを作成できる、高い評価を得ている Dyna Amp テクノロジーが搭載されています」と書いてあるので、基本的にCUBEの「DYNA AMP」とBOSSの「DN-2」は同じものみたいですね。
コンパクトエフェクターを持ち歩かなくてもアンプだけで「DN-2」の音が出せるのは魅力の1つかも知れません。
- ◆ヘッドホン端子について
「CUBE-40XL」はアンプのスピーカーから音を出すと良い感じなのですが、ヘッドホン端子から出ている音はS/N比が非常に悪く、かなり扱いにくい音だと感じました。
音を出してない時だけでなく大き目の音で弾いている時にもバックグランドでずっと「サァーッ」というホワイトノイズが鳴っています。(自分の買った個体が壊れている?)
スピーカーから出した時は綺麗だったJC CLEANの音も、ヘッドホン端子から出すとMXR のDynacompを強めにかけた時のような「パコパコ」とした不自然な音に聞こえます。
「CUBE-40XL」が作られた当時は、まだキャビネットシミュレーションのIRという概念があまりなかったのかも知れないですが、ヘッドホン端子から出した音を聞くと安っぽい10年以上前のデジタルモデリング風の音で残念な感じです。
最近のモデリングアンプはS/N比の良いサウンドをPCに流すことができるものも多いですが、「CUBE-40XL」は古い機種だけあってDTMやライン録音の用途ではちょっと使えないと思うので、その点は注意が必要だと思いました。
- ◆エフェクト
搭載されているエフェクトのうち、ディレイとリバーブは「流石ローランド」という感じで、古さを感じさせない上質な雰囲気がありました。
他方、コーラス、フランジャーなどのモジュレーション系はオマケで付けた的な雰囲気が強く、安っぽいサウンドで、細かい設定もできないので非常に使いづらいです。
ローランドやBOSSのコーラスは質が高いイメージがあってJC-120に付いているコーラスのサウンドを期待していたので、この点は残念でした。
- ◆重さ
「CUBE-40XL」の重さは約10kgと、ギターアンプの中では軽いほうだと思うのですが、それでもやっぱり持ってみると重いです。
「CUBE-40XL」の入った箱を配達員の方から受け取った瞬間に「重っ!」と衝撃を受け、買ったことを少し後悔しました。
ただ実際に音を鳴らしてみると、他の軽いアンプに比べて、音はしっかりとしていて良いと感じます。
最近のデジタルアンプはさらに軽めで同じくらいの音量を出せるものもあるので重さはデメリットかも知れません。
あとコンパクトなサイズではありますが、部屋に置いてみると存在感のある大きさで、買ってからこのアンプに足を何度もぶつけました。
ただ、重い分キャビネットはしっかりしています。
最近の新しいモデリングアンプと比べてみても「CUBE-40XL」の音が良いと感じるのは、キャビネットの作りがしっかりしているからなんだろうと思います。
ちなみに、スピーカーの前にある網の部分は昔からプラスチック製だと思っていたのですが、ネジを外してみると実は金属製で、これもかなり重かったです。
音が出るスピーカー周りには、それなりにコストをかけているんだな、という印象です。
- ◆POWER SQEEZER
「CUBE-40XL」には「POWER SQEEZER」という出力を調整する機能が付いていますが、やはり日本の住宅事情の下ではこの機能は便利です。
40Wの状態のままでも小音量は出せるのですが、ボリュームの操作がシビアになって扱いづらいです。
「POWER SQEEZER」をオンにするとボリュームの細かい調整がきくので便利です。
ただ「CUBE-40XL」の仕様では、電源を入れた時は「POWER SQEEZER」はオフになるようです。
そのため、
① 「POWER SQEEZER」をオンにして小音量で練習
↓
② 練習が終わって電源を切る
↓
③ 次の日電源を入れてそのまま音を出すと爆音が鳴る
という事故が起きがちです。
アンプなので電源を切る時はボリュームをゼロに戻しておくべきなのですが(説明書にもそうしろと書いてある)、トランジスタアンプなので面倒臭がりの人はボリュームをゼロにしないまま電源を切ってしまう人もいると思うんですよね。
なので毎回「POWER SQEEZER」がオフになるのはちょっとストレスです。
あと電源を入れ直すと必ずチャンネルが「JC CLEAN」に戻るのですが、この仕様も結構面倒くさいです。
おそらく歪みチャンネルで練習をする人のほうが多いと思うのですが、電源を入れる度に「LEADチャンネル」の切り替えボタンを押して、「POWER SQEEZER」をオンにして・・・とボタンを何個か押さないと練習が始められないのは不便だなと思いました。
- ◆ルーパー機能が便利
「CUBE-40XL」にはルーパー機能が付いていますが、操作もシンプル・簡単で便利だと思いました。
ルーパーってコンパクトペダルの形をしたものも販売されていますが、ルーパーをいちいち繋ぐのって結構面倒なんですよね。
「CUBE-40XL」はアンプ直でそのままルーパーを使えるので、ルーパーを使った練習の頻度も増えそうですし、自分のプレイを簡単に客観的にチェックできるのは良いと思います。
- ◆まとめ
中古で1万円ちょっとという価格を考えると非常に満足度の高いアンプでした。
「KATANA 50はちょっと大きすぎるな」という人にもちょうど良いかも知れません。
古いアンプなので、どこまで使えるかという心配もありますが、経験上ローランドやBOSSの製品は上部で壊れにくいものが多いので、しばらく大事に使っていこうと思います。
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